津軽三味線、自動で譜面化 曲消滅危機も「次世代に」
津軽三味線などの伝統音楽をコンピューターを用いて譜面化する研究が進んでいる。伝統音楽の継承は主に口伝で、伝わる際に節が変わったり、演奏者が亡くなり曲そのものが途絶えてしまったりしているという。取り組んでいる八戸工業大学(青森県八戸市)の小坂谷寿一教授(情報工学)は「正確な音を次の世代に伝えたい」と話した。
弦の振動を電気信号に変えるエレキ三味線による演奏を、コンピューターが分析して西洋譜にする仕組み。伝統的な三味線用の譜面では表現していなかった、細かい演奏法も盛り込める。
弾いた弦以外の振動などがノイズとなる中、メロディーだけを取り出すのが課題だったが、奏者の癖などを人工知能(AI)に学習させることで、正確な譜面が作成できるようになった。
これまでに、東北6県の民謡約60曲を譜面化。テンポが速く複雑なメロディーの「津軽じょんがら節」の譜面を作ることにも成功した。
小坂谷教授は「正確な音が伝わることで、西洋楽器での演奏や共演も可能になる。小中学校の邦楽教育でも扱いやすくなる」と話す。昨年11月には、作成した譜面を用いたピアノ演奏を大学の授業で披露した。
研究に協力している三味線奏者の松田隆行さん(46)は「三味線の稽古の中で楽譜がほしいという声も多い。津軽三味線の後継者不足解消が期待できるだけでなく、民謡界全体の振興にもつながる」と評価した。〔共同〕