「変動価格、誤解されている」算出技術提供の平田社長
三井物産やZホールディングスなどが出資するダイナミックプラス(東京・千代田)の平田英人社長は20日、ビジネスを支えるIT(情報技術)インフラの企画・設計・構築・運用をテーマにしたイベント「ITインフラSummit 2020」(日経BP主催)の特別講演に登壇。受給に応じて価格を変動させる「ダイナミックプライシング」の取り組みについて講演した。
ダイナミックプライシングは商品やサービスの価格を一物一価とせず、需要動向を予測しながら価格を柔軟に変動させる仕組みを指す。ダイナミックプライシングは欧米で導入が進んでおり、米国では2017年内に「2000万枚のチケットがダイナミックプライシングによって販売された」(平田社長)という。
18年6月に設立したダイナミックプラスは、過去データと現在(日時)データなどを分析し、人工知能(AI)や機械学習を用いて価格を変動させるアルゴリズムを提供している。システムはアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)上に構築した。
平田社長は「誤解されがちだが、ダイナミックプライシングは価格を上げる仕組みではない。収益を最大化するものだ」と説明する。19年7月にプロ野球の試合で実施したABテストでは「約6割のチケットが通常価格より安く販売された」と話す。だが売り上げはダイナミックプライシングを導入していない試合と比べて「17.9%増加した」(同)とその効果を強調する。
平田社長は「値付けが難しいチケットでダイナミックプライシングを実現できた。今後は鉄道業界やアパレル業界、小売業界にも展開したい」と今後の取り組みを説明し、講演を締めくくった。
(日経 xTECH/日経NETWORK 安藤正芳)
[日経 xTECH 2020年1月20日掲載]