アント、香港と本土で重複上場か 英メディア報道
【上海=松田直樹】中国ネット大手、アリババ集団傘下の金融会社アント・フィナンシャルが新規株式公開(IPO)を計画していることが17日、分かった。英メディアなどが報じた。香港取引所と中国本土での重複上場を検討しているという。アリババが昨年、香港に上場した際に主幹事を務めた中国国際金融(CICC)、クレディ・スイスの2社の企業名を挙げ、上場について協議を始めたとしている。
アリババは昨年11月、従来のニューヨーク証券取引所(NYSE)の上場に加え、香港市場への重複上場を果たした。株価は好調に推移しており、こうした状況もアントの上場計画を後押しした可能性がある。ただ、アントを巡る上場観測はこれまでも浮上している。アントの広報関係者は17日、日本経済新聞の取材に対して「IPOの計画もタイムテーブルもない」と回答した。
アントは、企業価値10億ドル(約1100億円)超の未上場企業「ユニコーン」の中でも最大手の一角を占める有力企業。「TikTok(ティックトック)」を手掛ける北京字節跳動科技(バイトダンス)と並ぶ中国のユニコーン企業だ。
スマートフォン決済「支付宝(アリペイ)」や、個人の信用評価システム「芝麻信用」などを運用するアリババグループの中核の金融会社。アリペイのユーザー数は世界で12億人を超えている。アントは18年に140億ドル(約1兆5000億円)の資金調達をし、企業評価額は1500億ドル規模に達するとの見方もある。