米弾劾裁判が開廷、史上3例目　審理は21日開始

【ワシントン=中村亮】米議会上院でトランプ大統領を巡る弾劾裁判が16日開廷した。大統領の裁判は史上3例目となる。トランプ氏が率いる与党・共和党は早期の無罪確定を目指すが、野党・民主党は新たな証人の招致を要求して追及を強めたい考えだ。審理は21日に始まり、与野党の対立が激しくなる。

上院の本会議場では16日、裁判で検察官役を務めるアダム・シフ下院情報特別委員長がトランプ氏の弾劾決議の内容を読み上げた。下院は2019年12月にウクライナ外交をめぐる権力乱用などを理由に同氏を弾劾訴追した。ジョン・ロバーツ連邦最高裁判所長官が裁判長に就任し、上院議員が公平な陪審員役を務めることを宣誓した。

トランプ氏は16日、ホワイトハウスで記者団に対し、ウクライナ疑惑に関して「完全なでっち上げだ」「私は何も悪いことをしていない」などと改めて強調した。「弾劾裁判を迅速に進める必要がある」と強調し、早期に無罪を確定すべきだとの認識を示した。

民主党はウクライナ疑惑の真相を知るとされるボルトン前大統領補佐官（国家安全保障担当）やマルバニー大統領首席補佐官代行に証言を求めている。一方、共和党は早期の裁判終了に向けて新たな証人の招致に否定的だ。証人をめぐる与野党の駆け引きは弾劾裁判の行方を左右する可能性がある。