ウクライナ支援停止は「違法」、米議会付属機関が指摘

【ワシントン=中村亮】米議会の付属機関である政府監査院（GAO）は16日、トランプ政権が2019年夏にウクライナ向けの軍事支援を停止したことについて「違法だ」との認識を示した。トランプ大統領の関与が疑われる支援停止に違法性が指摘されたことで、21日に上院で始まる弾劾裁判の審理で政権に対する追及が強まる可能性がある。

GAOは上下両院の承認や大統領署名を経て成立した予算に関し、政権が政策的理由から執行を停止することは原則として法律上認められていないと指摘した。米メディアによると、米行政管理予算局（OMB）の報道官は16日、「OMBは税金が大統領の優先事項や法律に沿って適切に支出されることを確実にするための分配権限を行使している」と強調し、違法性を否定した。

トランプ政権は19年7月中旬にウクライナ向けの軍事支援を停止し、その前後に20年の大統領選の有力候補である野党・民主党のバイデン前副大統領の不正疑惑に関する調査を同国に働きかけた。民主党はトランプ氏が大統領選を優位に戦うためウクライナ支援を停止し、バイデン氏の調査に着手するよう同国に圧力をかけたとみている。

GAOの指摘を受け、支援停止の経緯に改めて関心が集まるのは確実だ。政府関係者の議会証言によると、支援停止はトランプ氏の側近であるマルバニー大統領首席補佐官代行が国防総省や国務省の反対を押し切って決めた。民主党は上院の弾劾裁判でマルバニー氏の証言が必要だとの主張を強めそうだ。

GAOは議会に付属する無党派の独立機関で、連邦予算が適切に支出されているかを調査している。