トルコ中銀、0.75%利下げ 5会合連続
【イスタンブール=木寺もも子】トルコ中央銀行は16日、主要な政策金利の1週間物レポ金利を0.75%引き下げ、11.25%とした。利下げは5会合連続。かねてエルドアン大統領が求める1桁台の金利に近づいた。景気浮揚を狙うが、政策金利から物価変動の影響を除いた実質金利はほぼゼロかマイナスになっており、通貨リラの下落リスクが高まるとの指摘もある。
中銀は声明で「インフレ率の変化は、おおむね想定通りだ」とし、改善を続けているとの認識を示した。足元の2019年12月の消費者物価指数(CPI)は12%で、一時25%に達した18年と比べると落ち着いている。
5会合連続となる利下げには、政権の圧力が働いているとの見方が強い。エルドアン氏は金利が下がれば、物価が下がるという独自の理論を提唱しており、19年には利下げの求めに従わなかったことを理由に前中銀総裁を更迭した。
ただ、CPIは19年10月に9%まで下がった後、輸入物価を押し上げるリラ安や消費の回復などによって3カ月連続で上昇している。実質金利はゼロに近づいており、マイナスになったとの見方もある。20年の利下げは慎重なかじ取りが必要になる。
地政学リスクが物価上昇やリラ安をもたらす可能性もある。隣国でエネルギー輸入元のイラン情勢の緊張は、トルコのエネルギー価格を押し上げかねない。4月ごろにはロシアから購入した地対空ミサイル「S400」の稼働と、それに伴う米国からの制裁も見込まれる。トルコは20年、19年は8回だった金融政策決定会合を12回行う予定。