洋菓子の美松、新潟・長岡市に米粉のクッキー新工場
洋菓子製造・販売の美松(新潟県長岡市)は、米粉を原料にしたクッキーを増産する。6億~7億円を投じ2022年末をめどに市内に新工場を稼働する。24年6月期の米粉関連商品の売上高は現在の2.5倍の約5億円を目指す。食物アレルギーを持つ消費者に対応した災害食として東京都など自治体から需要が高まっており、生産体制を強化する。
新工場を建設するのは、北陸自動車道の長岡北スマートインターチェンジ(IC)にほど近い「長岡北スマート流通産業団地」の一画。市が造成する同団地の第2期エリアにつくる。約2万2000平方メートルの用地取得のため、市と進出協定を結んだ。工場の建築面積は約4000平方メートル。21年10月をめどに着工し、22年12月の稼働を目指す。
美松は小麦粉を使った洋菓子のほか、食物アレルギーを持つ消費者に対応したクッキー、カップケーキなどの製造に力を入れている。長岡市に隣接する見附市内のえちごさん工場では小麦、そば、卵など27種類の特定原材料を使わず、地元産の米粉のクッキーを中心に生産している。
同社は今後、20年末までに新工場の具体案を詰める計画だ。松井秀明社長は新工場の専用ラインについて「この27種類にナッツを加えた28種類の特定原材料を使わないクッキーを生産するラインが軸になりそうだ」と話す。
クッキーなど米粉関連商品の売上高は19年6月期が約2億円で、5年後の24年6月期には約5億円を見込む。
新工場はIC近くに建設するため、県内に加えて首都圏など幅広い地域からの集客を見込み、設備や環境を整える。菓子作りを体験したり見学したりする施設を設けるほか、できたての焼き菓子なども販売する計画。多くの樹木に囲まれた緑豊かな環境をつくり、約200台を収容できる駐車場も整備する予定だ。
米粉を使ったクッキーはサクサクした食感に加え、小麦アレルギーの原因となることもあるグルテンを含まない。牛乳や卵も使わず、アレルギーを持つ人でも安心して食べられる。インバウンド(訪日外国人)の集客も視野に、イスラム教徒が安心して食べられるよう、ハラル認証の取得も検討する。
美松は米粉を使ったクッキーをえちごさん工場を中心に生産している。受注増に対応するため、同工場では19年12月から二交代制の勤務に切り替えた。今後も順調に受注が見込めると判断し、新たに工場建設地を探していた。
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