「ゴーン元会長の不正支出4億円超」日産、東証に報告書
日産自動車は16日、元会長のカルロス・ゴーン被告(65)が日産とルノーの合弁会社を通じ、業務に関係ない目的で390万ユーロ(約4億7800万円)を不正に使ったと明らかにした。ベルサイユ宮殿でのパーティー費用やリオのカーニバルやカンヌ映画祭でのゲストの招待費、仏カルティエでの贈答品購入費用などが含まれる。
同日に東京証券取引所に提出した企業統治を改善するための報告書に内容を盛り込んだ。
報告書は、ゴーン元会長が社長を務めていたオランダ・アムステルダムにあるルノーと日産の合弁会社「ルノー日産BV」(RNBV)が、個人的な費用および業務と無関係な費用として「少なくとも390万ユーロを支出した」とした。
具体的には、ベルサイユ宮殿でのパーティー費用のほか、仏マルモッタン美術館での夕食、レバノンの法律事務所の弁護士費用などを挙げた。日産とルノーはRNBVに対してきちんと監査をせず、予算や財務諸表の承認は形だけだったという。
また2009年から18年にかけ、レバノンの学校や非営利団体など約10機関に対し、RNBVが元会長個人の代わりに約237万ユーロ(約2億9千万円)を寄付したことも明らかにした。家族同伴など個人的な渡航の社有ジェット代510万ユーロ(約6億2500万円)もRNBVに負担させていた。
報告書では、元会長らの不正に関与した現職の部長級以上3人を処分したことも記された。
19年9月に辞任した日産の西川広人前社長兼最高経営責任者(CEO)が株価に連動する役員報酬制度の行使日を遅らせて報酬を不正に受け取った経緯も記載した。西川氏以外に報酬を不正に受給した6人について、20年3月までに返還を受ける予定とした。
統治改革の一環として14日の日産の取締役会で相談役・顧問制度の廃止を決めたことも記した。退任した役員が顧問に就任し、現役経営陣の判断に影響を与えることが懸念されていた。
日産自動車が選択を迫られている。
内田誠新社長のもと、業績をどう立て直すのか、筆頭株主である仏ルノーとの関係をどう再構築するのか。
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