首相、サウジ皇太子と会談 中東の船舶安全確保で連携
【アブダビ=安部大至】中東歴訪中の安倍晋三首相は12日(日本時間13日未明)、サウジアラビア北西部のウラー郊外で同国のムハンマド皇太子と会談した。米国とイランの対立で緊迫する中東情勢を巡り、緊張緩和に関係国が力を結集すべきだとの認識で一致した。民間船舶の航行安全確保での連携も確認した。
首相は13日(日本時間同)、アラブ首長国連邦(UAE)に移動した。その後、アブダビ首長国のムハンマド皇太子と会談し、中東の緊張緩和や日本への原油安定供給の協力、海上自衛隊の中東派遣への理解を求めたとみられる。
首相はUAE、オマーンを含めた3カ国訪問に関し、ウラーで記者団に「対話を通じた解決に向け、機運を醸成することが重要だ」と語った。
サウジのムハンマド皇太子は同国で事実上の指導者だ。日本側の説明によると、会談で首相は「イランを含む中東地域の軍事衝突は世界の平和と安定に大きな影響を及ぼす」と指摘。「事態のさらなるエスカレーションは何としても避ける必要がある」と訴えた。「サウジをはじめ各国の抑制的な対応を望み、評価する。サウジとも緊密に連携したい」とも話した。
ムハンマド皇太子は「安倍首相の見方に完全に同意する」と応じた。「この地域の緊張は世界全体に悪影響を及ぼし、当事国間の対話が必要不可欠だ」と指摘した。「サウジも取り組みを強める」と述べた。
首相は海上自衛隊の中東派遣も説明した。同国は米トランプ政権主導の有志連合「番人(センチネル)作戦」に参加している。皇太子は「完全に支持する」と応じた。
ムハンマド皇太子が進める改革への全面的な支持も表明した。サウジは石油依存の経済からの脱却をめざし、産業の多角化などを進めている。ムハンマド皇太子は「日本との協力は重要であり、さらに協力関係を深めたい」と呼びかけた。
首相はこれに先立ち、リヤドのヤマーマ宮殿でサウジのサルマン国王と約40分間会談し、中東情勢などを巡って意見交換した。
日本側の説明によると、国王は「エネルギーのみならず多くの分野で日本と戦略的パートナーシップが深化していくことを期待している」などと語った。首相がサウジの経済改革を全面的に支援する意向を伝えると、国王は「改革を進めるうえで日本は重要なパートナーだ」と応じた。