台湾議会選、与党・民進党が過半数を維持
【台北=加藤彰介】台湾で11日に総統選と同時に投開票された立法委員(国会議員に相当、定数113)選挙は、対中強硬路線の与党・民主進歩党(民進党)が61議席(改選前68議席)を獲得し、過半数(57議席)を維持した。総統選で圧勝した民進党の蔡英文(ツァイ・インウェン)総統(63)は、安定的に政策を運営できる基盤を確保した。
中央選挙委員会が発表した開票結果によると、民進党は小選挙区(計73議席)で46議席、比例区(計34)や別枠の先住民区(計6)で15議席を得た。支持基盤がある台湾・南部を中心に得票を伸ばした。
一方、対中融和路線の最大野党・国民党は38議席。小選挙区で22議席、比例区や別枠の先住民区で16議席を獲得し、改選前から3議席増やした。
前回2016年の立法委員選では、民進党が改選前の40議席から大きく伸ばして初めて過半数を獲得した。ただ、18年11月の統一地方選では経済政策などで蔡英文政権への批判が高まり国民党が大勝。今回の立法委員選でも当初は国民党の優勢が見込まれたが、中国への警戒感などから勢いが弱まった。
独立志向の強い若者でつくる小政党「時代力量」は、民進党から若者票の一部を取り込んだとみられ、3議席を得た。中台間のサービス貿易協定発効への反対派が14年3月に起こした「ヒマワリ学生運動」を発端に、香港で続く抗議活動に身を投じる若者との連帯を打ち出している。
柯文哲・台北市長が19年8月に立ち上げた新党「台湾民衆党」も5議席を獲得した。二大政党の権力闘争を嫌気する中間層の支持を集める。
今回の立法委員選では第三勢力がキャスチングボートを握る展開も見込まれていたが、与党・民進党が過半数を守ったことで存在感は薄まりそうだ。
鴻海(ホンハイ)精密工業の創業者、郭台銘(テリー・ゴウ)氏は24年の次回総統選への出馬に向け、今回の立法委員選の応援に奔走した。若者らの支持を集める第三極に接近し、「郭家軍」と呼ばれる自らの政治勢力の拡大を狙ったが、思い通りの結果には至らなかったとみられる。
選挙結果を受けた立法院は2月1日に開会する。