森法相「到底看過できない」 ゴーン元会長会見に反論
8日の記者会見で日本の刑事司法制度を一方的に批判するなど持説を展開したゴーン元会長に対し、日本の法務・検察当局や日産自動車関係者は強く反論した。
9日未明に異例の臨時記者会見に臨んだ森雅子法相は「日本の刑事司法制度は適正な手続きを定めて運用されている」と強調。元会長について「刑事裁判そのものから逃避したもので、どの国の制度の下でも許されない。しかもそれを正当化するため、国内外に日本の法制度について誤った事実を殊更に喧伝(けんでん)し、到底看過できない」と批判した。
東京地検の斎藤隆博次席検事は元会長の逮捕・起訴について「適法に捜査を進め訴追に至ったもの。そもそも犯罪が存在しなければ起訴に耐えうる証拠を収集できるはずがない。日産と検察に仕組まれたとの主張は不合理だ」とのコメントを出した。地検は英語でも同趣旨のコメントを公表した。
元会長は会見で、自身の告発などに関わった日産関係者として▽西川広人前社長兼最高経営責任者▽川口均元副社長▽ハリ・ナダ専務執行役員▽今津英敏元監査役▽大沼敏明元秘書室長▽豊田正和社外取締役――の6人の実名を挙げた。
会見を受けて日産のある幹部は「違法に海外に退出された人が何を言っても信頼されない」と突き放した。別の幹部も「(日産は)損害賠償訴訟を起こすつもりなのに、根拠もなく不正を指摘できるわけがない。会見は自分を正当化する茶番にすぎない」と述べた。
首脳の一人は「この連鎖から脱せるように早く業績を立て直さないといけない。今回の事件と経営の話は切り離し、仕事に集中しないといけない」と語った。
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