ウーバーイーツ労組、事故・補償の実態を調査
食事の出前サービス「ウーバーイーツ」の配達員でつくる労働組合は7日から、配達員の交通事故や補償の実態調査を始めたと発表した。ウーバージャパン(東京・渋谷)は2019年10月に配達員への補償制度を拡充している。組合側は調査結果を基に一段の制度の充実を訴える。ウーバーイーツの配達員のような単発で仕事を請け負う「ギグワーカー」も労災保険の適用対象とするよう求める。
労働組合「ウーバーイーツユニオン」が、労災を巡る相談などを手掛けるNPO法人、東京労働安全衛生センターと連携して調査する。インターネット上で配達員に事故の状況や、実際に受けた補償の内容についてのアンケート調査を実施。回答者を対象に聞き取り調査も行う。集計結果は5月末をメドに公表する。
東京労働安全衛生センターの天野理氏は現在のウーバーイーツの補償制度について「補償の対象となる『配達中』の定義が狭い。過労などの疾病も対象外で懸念すべき点は多い」と指摘する。またギグワーカーの労災被害についてはデータがないため「実情を分析し、労災保険制度がこのままでいいのかどうかを検討する材料にしたい」と話す。
ウーバーイーツユニオンは19年10月の結成以来、ウーバー側に団体交渉を求めているが「労働組合法の上では『雇用する労働者』に該当しない」として拒否されている。
来月までに労使紛争の解決機関である労働委員会に、団交の実施について申し立てる方針だ。今回の調査内容と併せて配達員の就労環境の改善やギグワーカー向けの労災制度の整備などを呼びかけていく。