五輪へ期待、災害に強く 千葉県内トップ年頭あいさつ
千葉県内の自治体や企業は6日、2020年の仕事始めを迎えた。東京五輪・パラリンピックが間近に迫るなか、年頭あいさつに立った各界のトップからは大会開催を通じ、地域の発展につなげたいと意気込む声が相次いだ。昨年の台風・大雨災害を踏まえ、危機管理の重要性を改めて説く場面もあった。
森田健作知事は県庁の「御用始式」で約200人の幹部を前に「今日は五輪・パラリンピックの200日前。私たちは全力で取り組み、日本の千葉から『世界の千葉』へ飛躍する」と述べた。終了後、知事は大会開催を経済成長につなげるため「ヒトやモノの流れをスムーズにしなければならない」と記者団に語り、高速道路や空港の整備を加速したいとの考えを示した。
千葉市の幕張メッセではレスリングやゴールボールなど7競技が開かれ、東京都以外では有数の開催規模となる。熊谷俊人市長は市役所の仕事始めで「五輪・パラリンピック成功の先の21年以降の姿を思い描き、将来へ正しい選択を取って欲しい」と呼びかけた。
経済界も大会を地域活性化の好機とみる。千葉興業銀行の梅田仁司頭取は「海外からも多くの方が訪れ、大変な盛り上がりになる」と強調。経済効果だけでなく「千葉の産業や文化・自然、おもてなしの心を国内外に発信し、飛躍の年になる」と期待を寄せた。
一方、今なお県内に暗い影を落としているのが昨秋の台風・大雨だ。台風15号で甚大な住宅被害を受けた南房総市の石井裕市長は「復興はまだまだこれからだ。被災した方々が一日も早く正常な生活に戻れるよう、最後までしっかり支援していきたい」と市幹部に檄(げき)を飛ばした。
千葉銀行の佐久間英利頭取は幹部向けの年頭講話で「自然災害の激甚化には地球温暖化が大きく影響している」と指摘。「気候変動などの問題は当行の経営にも関わる重大な事象だと肝に銘じ、万全なBCP(事業継続計画)の構築に努めていこう」と述べた。