竹久夢二の「サーカス」初公開 漫画家の田河水泡が旧蔵
画家で詩人の竹久夢二(1884~1934年)が制作した未公開の日本画「サーカス」が見つかったと、竹久夢二美術館(東京・文京)が6日、発表した。「のらくろ」で知られ、夢二と面識のあった漫画家の田河水泡(1899~1989年)が旧蔵、遺族から寄贈を受けた。7日から同館で展示される。
美術館によると、戦後、夢二の遺族が田河を訪ねて購入してもらったという。学芸員の石川桂子さんは「2人の意外なつながりが秘められた作品」と話している。
絵画は昭和初期の制作とみられ、縦97.8センチ、横27.6センチ。曲芸をする少女が描かれ、軸装されている。購入を決めた田河の心情については、妻で作家の高見沢潤子さんが97年にエッセーで言及。大正期に前衛芸術集団「マヴォ」に参加していた田河が、渋谷の夜店で、近くに住む夢二に絵の切り抜きを買ってもらった逸話に触れ「感謝と懐かしさが田河の心をいっぱいにしたからだろう」とつづっていた。
〔共同〕