中部3知事に聞く2030年への針路 「リニア後」へ独自策
2020年に入り、中部地方は27年予定のリニア中央新幹線開業を迎える新たな10年を歩み始めた。ターミナルと新駅ができる愛知と岐阜、国際会議開催地やリゾート地として存在感を高めたい三重。3県の知事に「リニア後」を見据えた企業誘致、観光振興策を聞いた。
「リニア開業で東京、名古屋、大阪間の移動時間が大幅に短縮し、3大都市圏が一体となった大交流圏が誕生する。そのインパクトを生かし、企業誘致を戦略的に推進して人を呼び込みたい。愛知で主力の自動車産業はCASEやMaaSへの対応など100年に一度の大変革期を迎えた。注目するのはイノベーションの担い手となるスタートアップだ」
「2021年度に国内外のスタートアップを集積する中核支援拠点ステーションAiを名古屋市の鶴舞にオープンする。チャレンジ意欲を持つ若者が活躍する新たなビジネスの育成を進め、海外とも連携して産業集積に一層の厚みを加える」
「一方、若年層を中心に東京圏への人口転出超過は拡大している。特に若い女性で顕著だ。この流れを変えるためには、愛知が働く場所として選ばれる魅力的な地域となることが重要だ」
「若者が活躍できる新ビジネスの育成・集積を加速させるとともに、女性に働きやすい環境づくりを進める。都市としての魅力を県外に発信し、東京圏からの移住や定着を図りたい」
「ものづくりに続く新たな戦略産業に、観光を位置付けている。22年秋の開業に向けて長久手市にジブリパークを整備中だ。日本が誇るコンテンツであるジブリ作品の世界を再現するもので、他に類をみないテーマパークをつくりたい」
「26年にはアジア競技大会が開かれ、愛知で国際的に注目を集めるイベントが続く。観光客が県内を周遊し長く滞在してもらえるよう、観光資源の魅力に磨きをかけたい」
(聞き手は名古屋支社 小野沢健一)...
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