11月建機出荷額34%減 台風被害で減産
日本建設機械工業会(建機工)は26日、11月の建機出荷額(補給部品含む総額)が前年同月と比べて33.8%減の1639億円だったと発表した。2カ月連続のマイナス。台風被害でサプライチェーン(供給網)が打撃を受けて、各社が工場の操業を落とした。消費増税の駆け込みによる反動減も響いた。
内需は20.8%減の773億円で2カ月連続で減少した。台風19号で長野県・千曲川が氾濫し、同県内でバルブを製造する仁科工業(長野市)など主力部品メーカーが被害を受けたことで、建機メーカーの部品調達に支障をきたした。
各社は数十人規模で支援要員を派遣するなど動いたが、現時点でも全面復旧の水準まで戻らないもようだ。日立建機は「1000台規模の生産に影響があった」(平野耕太郎社長)ほか、コマツもミニショベルなどを製造する栃木工場(栃木県小山市)で「2日ほどラインが停止した」(小川啓之社長)など影響が残った。
年度内に生産量は回復できる見通しだが、「今後サプライチェーンの多様化も考える必要がある」(平野社長)としている。
外需は42.3%減少の865億円だった。内需と同様に工場からの出荷が滞り、アジアや北米など全9地域で前年を下回った。コマツの遠隔監視システム「コムトラックス」で各国建機の稼働率をみると、日米欧で前年を下回ったものの、中国が8カ月ぶりに前年を上回った。
1~11月の累計では出荷額は前年同期比2.7%減の2兆4547億円。2019年通年でも前年を下回る見通し。台風の影響がブレーキとなって、各社の受注、業績に影を落としそうだ。(西岡杏)