登山家社員、海外遠征で1年休暇も アウトドア用品大手
関西企業の間でユニークな働き方改革が広がっている。アウトドア用品大手の好日山荘(神戸市)は社員が海外登山のために最長1年の休暇取得を認める「長期遠征等サポート休暇制度」を導入した。アウトドア好きの優秀な社員を確保するほか、海外登山で培った経験を接客に生かして顧客満足度の向上にもつなげる。
対象は本社や直営店などの正社員、契約社員の計230人弱。遠征休暇中は給与支払いは停止するが、職位や給与額などの待遇は休暇取得前の水準を保証する。休暇中も勤続年数の対象にして、年金など社会保険も会社負担は継続する。近く申請者が出る見込みだ。
アウトドア関連企業の社員は登山好きが多い。登山遠征などは半年程度の期間を必要とする場合もあり、仕事の両立に頭を悩ます社員が多かったという。好日山荘は「遠征の経験を仕事にいかしてもらいたい」とする。
上場企業では、ウェブマーケティングを手掛けるイルグルム(旧ロックオン)が職場との接触を一切禁じる「山ごもり休暇」という休暇制度を導入している。年1回、土日を含め連続9日間の取得を義務づけた。社員のリフレッシュと誰かが休んでも円滑に業務が回る柔軟な組織づくりにつながっているという。
ロート製薬は副業を解禁する「社外チャレンジワーク制度」をいち早く導入した。これまで約70人が制度を利用し、「本業も副業もやりがいを持って取り組んでいる。周囲への刺激にもなっている」(同社)。
各分野で優秀な人材は引く手あまた。東京など他地域とも競合する中、魅力的な働き方改革を通じて人材確保に知恵を絞る関西企業が目立つ。
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