千葉県知事、被災後私用で都内に
千葉県は20日、台風・大雨災害への県の対応を検証する有識者会議の第2回会合を開いた。台風15号通過後の森田健作知事の行動に関し、県側は被災3日目と5日目に私用で都内に出かけていた事実を明らかにした。有識者会議の吉井博明座長は記者団に対し「両日とも災害対策本部会議が開かれており、公務以外での外出は大変遺憾だ」と述べた。
県が提出した資料によると、知事は9月11日午後、千葉市内の公舎にいったん戻った後、東京都千代田区に私用車で出向いた。目的は明らかにしていない。
16日の県議会総務防災委員会でも空白の時間帯が多い点を指摘されたが、県は「公舎で待機していたと聞いている」(秘書課)と答弁していた。秘書課の担当者は9月11日の私用外出について「全く知らなかった」と虚偽答弁ではなかったと説明している。
9月13日は9月定例県議会初日の本会議に出席した後、散髪のため東京都中央区に出かけた。その後は再び県内に戻り、県庁で自ら本部長を務める災害対策本部会議に出席した。
知事の行動をめぐっては被災翌日の9月10日に芝山町の私邸に一時帰宅し、私用車で私的視察に出向いたことが問題視された。被災後間もない時期に私用で県内を複数回離れていた事実が新たに判明したことで、県の危機管理の甘さを改めて印象づけた。
知事は20日、私用での外出について「きちんと連絡が取れる状態なら問題ないと考えていた。重く受け止め、そういうことがないようにしたい」と県庁内で記者団に述べた。9月11日の私用の中身は「相手があることなので勘弁してほしい」と明言を避けた。
20日の有識者会議は知事の行動を含め、災害発生時のリーダーシップや組織のあり方について議論した。委員からは改善案として「副知事級の危機管理監を置くべきだ」「防災に詳しい人材が庁内で発言権を発揮できるしくみが必要だ」などの意見が出た。
県側は被災直後に市町村とのコミュニケーションが円滑に進まなかった反省を踏まえて、知事・副知事と県内の首長が直接連絡できるホットライン開設を検討する方針を示した。有識者会議は年内にも災害対応の問題点や改善案を盛り込んだ中間報告を公表する。