日本特殊陶業・川合尊社長の講評
健康、働き方、環境、安全、少子高齢化など。読者の皆さんからの提案はどれも今、向き合っている社会問題を解決するような内容ばかりでとてもワクワクして読みました。本当にありがとうございます。目に見えるもの、感じるものを数値化することで、よりよい社会、持続的に発展できる社会のイメージが膨らみました。我が社が取り組むセンサー事業にも多くのヒントを与えてくれるのは間違いありませんし、実現するための使命だと受け止めました。
「やる気(精神的な熱量)の見える化」はプライバシーの問題にも触れ、まずは自己分析から取りかかるというアプローチがとてもよく考えた提案ですね。我が社としては人工知能(AI)、深層学習の知見のある企業との協業によってこうした提案の実現性も見えてきます。社内には「DNA」と呼ぶ新規事業創出のプロジェクトがあり、鬱(うつ)病を防止するライフカウンセラーに関する提案があり、このテーマとの親和性がありそうです。
「伝統を受け継ぐセンサー」は膝を打つ思いになりました。人類が培ってきた形に現れない技術、感性をいかに将来につなげるかが、課題だからです。聖域とされていた日本の擦り合わせ技術も徐々にデジタル化され製品の性能としては遜色ないものが作られ始めています。でも感性の深みや職人芸に至るまでは到達できていないものがあると思います。これが数値化されたらすばらしいことです。楽しみです。
愛犬と暮らす私としては「動物の体調を見える化」はすぐにでも欲しいものです。愛犬の体調が悪くなった時に何をしていいかわからず、オロオロした場面を思い出しました。いずれ人間にも拡張されていく可能性もあり、興味深いですね。
今回いただいたアイデアはどれも熱量が高く素晴らしいものでした。私たちも「ニットクの挑戦」を続けてまいります。
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今回、初めて未来面に登場した川合社長は読者からの数多くのアイデアに真剣に目を通し、感想をメモにして取材に臨まれていて、その真剣さがうかがえました。「ワクワク」という言葉から分かるように川合社長にとって大いに刺激になったようです。
人間が知りたいと思う好奇心は枯渇しません。むしろ、コミュニケーションを深めるためにもセンサー的な考え方は今まで以上に必要になってくるのは間違いないでしょう。(編集委員 田中陽)
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