気分は「サスケ」 IDEC、社内ジムにボルダリング
はたらく
工作機械の安全スイッチなどを手掛けるIDECの社員向けフィットネスジムは少し変わっている。ボルダリング設備があるし、指でぶら下がって移動する珍しい器具もある。実はTBS系のスポーツバラエティー番組「SASUKE(サスケ)」の完全制覇を経験した社員が監修したのだ。社員の好奇心を刺激して利用を促し、健康管理や気分転換に役立てる。
大阪市内の本社の隣に約6億円を投じて建てた厚生棟。この2階にフィットネスジムがある。就業中を除く平日の朝6時から夜9時まで、同時に約25人が利用できる。ランニングマシンなど計20台程度の機器が並ぶが、ここまでは普通だ。
特徴的なのが一般的な企業ジムにはあまり見かけないボルダリングなどの設備がある点。初心者から上級者まで対応する20以上のコースがある。さらには3センチメートルの出っ張りを指でつかんでぶら下がりながら横に移動する独特な器具も見える。つかむ部分の厚みは4.5センチメートル、6センチメートルと比較的やさしいコースもある。
監修したのは、2015年にサスケを完全制覇した開発本部の森本裕介氏。完全制覇はまだ数人しかいない。指でぶら下がる器具も同番組で「クリフハンガー」と呼ばれる関門を再現したセットだ。森本氏は「普通のジムにはないものを用意すれば、多くの人が好奇心を持って集まるはず」と狙いを説明する。「社員の心身の健康が企業の一番の財産だ」。舩木俊之会長兼社長もジムでリフレッシュし、仕事に取り組んでほしいと一連の福利厚生設備の整備を後押しした。
「仕事をリセットし、次の日に切り替えられる」と話すのは利用者の藤井あかねさん。ボルダリングに挑んだ時は「登り方を尋ねて普段は話さない人ともコミュニケーションをとれた」と笑顔だ。本社の従業員数は同じ敷地にある技術研究センターと合わせ、630人程度。8月の厚生棟の開設後、1カ月あたり延べ約340人が使う。別の場所にあった以前のジムと比べ2.3倍と利用状況はまずまずのようだが、会社としては物足りないという。
設備の使い方が分からない人もいれば、やがて飽きてしまう人も出てくるかもしれない。今後はさらなる利用者増や健康増進に向け、プロトレーナーを招くなど丁寧にフォローする考えだ。(黒田弁慶)
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