五輪バイト、高額で大量募集 時給押し上げの一因に
2020年夏の東京五輪・パラリンピックに関わるアルバイトなどの募集が増え始めた。大会のスポンサー企業が物流や会場運営などのスタッフを千人単位で大量に募っているほか、関連の仕事は物販、警備、軽作業など多岐にわたる。全国的に人手不足のなか、必要な人数を確保するため募集の際に示す時給は平均を大きく上回る案件が多く、賃金相場を引き上げる一因にもなりそうだ。
ヤマトホールディングス傘下のヤマトホームコンビニエンス(東京・中央)は、選手村や競技会場での荷物の搬出入に携わるスタッフを1千人規模で募集し始めた。
1月から5月末まで選手村にベッドなど生活用品や備品を運ぶほか、6月以降は選手や関係者の競技用具や荷物などの運搬が仕事となる。時給は1600円で、フォークリフト免許などの有資格者は時給を100円上積みする。
アシックスも競技会場エリア内のオフィシャルストアなどで働く契約社員の販売スタッフを募集している。時給は1600円だ。
儀典業務を手がけるアテナ(東京・江戸川)は競技会場内で参加国の国旗を設置・撤去するアルバイト100人を募集している。1日最低3時間勤務で、時給は1400円だ。
警備業のフォルモントセキュリティサービス(東京都青梅市)は交通誘導警備のアルバイトを募集。日給9500円からで、研修終了後には入社奨励金を出すなどしてスタッフの確保を急ぐ。
大会組織委員会の仕事で、パソナは競技会場や選手村の運営、本部での事務や経費処理といったバックオフィス業務などを担う派遣スタッフを2千人超募集している。時給は1600円からだ。
こうした仕事の時給は総じて高い。求人情報大手のリクルートジョブズ(東京・中央)が12日発表した首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)の11月のアルバイト・パート募集時平均時給は、前年同月に比べ3.4%(37円)高い1132円となった。過去最高を更新したが、これより数百円も高い水準だ。
職種を細かくみると、「物流作業」が7.3%(79円)高い1170円、「警備員・監視員・パーキングスタッフ」が10.6%(115円)高い1201円となった。いずれも全体平均を上回っており、伸び率も総じて大きい。
同業大手ディップによると情報サイト「バイトル」に掲載された11月のアルバイト・パート求人件数(全国)は約20万3000件で、前年同月比17.5%増えた。
人手不足が深刻な「警備・車両誘導」は、年末年始のイベント向けの需要などもあって24.1%増えており、五輪を控え一層の募集増が見込まれている。
全国的に人手不足が深刻なだけに、東京五輪という期間限定の特需には高額での処遇を迫られる。ただ、募集企業にはこれを機会に社名やサービスを知ってもらい、通常の募集案件での人手確保にもつなげたいという考えもありそうだ。
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