Amazon「トランプ氏が不当介入」 クラウド失注で主張
【シリコンバレー=白石武志】米国防総省による情報システムの大型入札案件をめぐり、米国政府に対する訴えを起こした米アマゾン・ドット・コムが新たな意見書を裁判所に提出したことが9日、明らかになった。技術面で優れた提案をしていた同社ではなく米マイクロソフトが契約を獲得したのは、「トランプ大統領からの不適切な圧力の結果だ」と主張している。
争点となっているのは「JEDI」と呼ばれるクラウドコンピューティングを使った軍事情報システムの入札。契約額は10年間で最大100億ドル(約1兆円)にのぼり、入札結果はクラウドサービス市場の競争環境にも影響を与えると見込まれていた。アマゾンではジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)がトランプ氏に批判的な米紙ワシントン・ポストのオーナーであることが失注につながったとの見方が出ていた。
アマゾン傘下でクラウドサービスを手掛ける米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)は米連邦請求裁判所に提出した103ページに及ぶ意見書の中で、ベゾス氏とトランプ氏の関係について「政治的な敵」と言及した。その上で、トランプ氏はベゾス氏を害するために「アマゾンからJEDIの契約を遠ざける攻撃を陰に陽に繰り返した」と指摘した。
同社は「問題は米国の大統領が国防総省の予算を使って、彼自身の個人的で政治的な目的を追求することを許すべきかどうかだ」とも指摘した。JEDIについては各社の提案を再評価し、入札プロセスをやり直すよう求めている。
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