弔辞 ロバート キャンベル
不幸は往々にして突然やってくる。準備はしても間に合わない。百も承知のことだが親しい存在がいなくなったとたんに狼狽(ろうばい)する。頭がぐらつき、口が渇き、いつも流れ出てくる言葉が訥々(とつとつ)として繋がらない。
この原稿を書いている前日、恩師である中野三敏先生の野辺送りに立ち会った。見送った今は、少しばかり落ち着いている。
訃報は、廊下を歩いている同門の部下が館長室に入ってきて告げてくれた。朝...
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