辞典を友としたる日々 夏井いつき
ボーナスを貰(もら)えぬ身分になっておよそ三十年。中学校教諭という有り難い職をたった八年で退き、俳人というヤクザな仕事に転職した。以来、ボーナスとは縁の無い人生を歩いてきた。ボーナスという響きにうっとりする。羨ましいなと思う。それがない自分にがっかりする。
忘れもしない、教員になった年の最初のボーナス。貧乏な大学生活からの社会人一年生。当時はまだ給料袋で貰っていたものだから「うわっ、こんなに札が...
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