富士通とSUBARU、AIでエンジン部品研削を全数検査
富士通とSUBARU(スバル)は、エンジン用カムシャフト研削工程で人工知能(AI)により全てのカムシャフトの品質を保証する実証実験を12月4日から2020年1月末までSUBARU群馬製作所大泉工場(群馬県大泉町)で実施する。研削中の振動などのデータをAIに与えて加工品質をリアルタイムで推測させ、加工後の実測結果と突き合わせる。カムシャフトはエンジンの燃焼室に出入りする空気を制御する部品。これまでカムシャフトの品質は抜き取り検査によって保証していたが、両社はAIにより全数の品質保証が可能になるとみて、実証実験に踏み切る。
今回活用するAIモデルは、研削設備に接続したセンサーから収集した主軸動力値や振動といったデータと、カム面の形状や面粗さなどの品質データを機械学習させて構築。加工中の全カムシャフトについて品質の良否を判定する。実証実験はこのAIモデルの妥当性を確認する目的で、量産ラインにおいて収集したデータからAIにより推測した品質状態が、品質保証基準に合致しているかをみる。
併せて、研削砥石の表面を研いで切れ味を取り戻すドレッシング作業について、データに基づいて必要と判断した時のみ実施する。定期的にドレッシングを実施する現行方式より間隔を延伸させられるかについても検証する。
AIモデルは両社が共同で開発。富士通アドバンストエンジニアリング(東京・新宿)のあらゆるモノがネットにつながるIoT活用技術、富士通研究所(川崎市)のAIモデル生成技術、スバルの加工ノウハウを組み合わせた。18年7月から取り組んできたという。今後両社はAIモデルの量産ラインへの本格適用を目指し、さらに他の部品製作工程やエンジン工場全体に横展開を図る。
(日経 xTECH/日経ものづくり 木崎健太郎)
[日経 xTECH 2019年12月5日掲載]