米軍艦船廃水、不法投棄か 3県の港、日本の請負業者
【ワシントン=共同】米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは2日、米海軍と契約する日本の請負業者が海軍艦船から出る廃水を処理せず、第7艦隊が拠点を置く神奈川県横須賀市のほか長崎県佐世保市と沖縄県の港で不法投棄した可能性があり、米政府当局が捜査していると報じた。
同紙によると、捜査を受けているのは横浜市に本社がある廃水処理業者で、沖縄でも米軍の業務を請け負っている。2008年以降、不法に廃水を流し、事実を隠蔽した疑いが持たれており、海軍当局が18年3月に捜査を開始した。その後、司法省と連邦捜査局(FBI)が加わった。
河野太郎防衛相は3日の定例記者会見で、廃水処理業者について「毎年1千万円程度、海上自衛隊艦船の廃水処理に関する契約をしている」と説明。「防衛省が確認した限り、現時点では廃水の不法投棄は確認されていない」とも述べた。
この業者は艦船内にたまった汚水や油などを含む廃水を横付けした業者の船にホースでくみ上げ、浄化した後に海に戻す業務を請け負っている。
元従業員は同紙に、周辺海域に誰もいない場合には部分的に処理した廃水を海に流れたと証言。浄化した廃水を検査するため毎月、研究機関にサンプルを送る必要があったが、確実に良い結果を得るため、代わりに水道水を送ることもあった。
廃水処理業者は共同通信の取材に「報道は承知しているが、事実無根でいわれのないことを書かれている。法的措置を含め、しかるべき措置を取る」と語った。
米当局は在日米海軍関係者が事態を黙認したかどうかも調べている。海軍職員が上官に対し、数年間にわたり10回ほど不法行為の可能性を訴えたという。海軍との契約額は捜査対象の08年以降で計1億ドル(約109億円)以上とされる。