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東京パラリンピック 共生社会を実現する契機に

第6回日経2020フォーラム、三菱電機・杉山社長ら講演

詳しくはこちら

日本経済新聞社は11月19日、2020年東京五輪・パラリンピックを機に、障害者や高齢者が活躍できる社会にしていく際の企業の役割を考える「第6回日経2020フォーラム」を東京・大手町の日経ホールで開いた。「パラリンピックから見える共生社会のビジョン」がテーマで、三菱電機の杉山武史社長と清水建設の井上和幸社長が講演したほか、パラ支援などについて活発に議論した。

諦めぬ心の大切さ学ぶ

三菱電機社長 杉山武史氏

東京五輪・パラリンピックが開催される2020年度に、三菱電機は創立100周年を迎えます。これまでのご支援の恩返しの一つの形として20年の東京大会に向けた社内プロジェクトを13年12月に起こし、社会貢献活動の一つとしてオリパラの機運を高める活動を進めてきました。「障害のある方もない方も、あらゆる人がお互いを尊重し認め合う共生社会の実現に貢献する」ことを目標にしました。

具体的な取り組みでは、まずトップアスリートの採用です。オリパラを目指すアスリートをこれまでに9人採用しました。

次に、障害者スポーツの支援や普及活動です。練習場所が少ないという声を受け、神奈川県にある研究所の体育館の耐震工事に合わせ、バリアフリー化しました。現在では関東車椅子バスケットボール連盟に所属するチームの練習場所などとして提供しています。

社員向けには「心のバリアフリーセミナー」を実施しています。障害のある方や高齢者の方らに対し、適切な配慮とサポートができるよう、見守り方や声のかけ方などを学ぶものです。社員からは「自分の意識を変えるよい機会になった」などといった声が寄せられています。

不可能を意味する英語の「impossible」の「i」を大文字にしてアポストロフィーをつけると「I'm possible(可能)」になります。一見不可能に思えたことも、考え方や見方を変えたり、工夫したりすることで解決の糸口を見つける考え方です。これは障害者スポーツに携わる方だけでなく、我々ビジネスの世界に身を置く者にも必要な考え方だと思います。決して諦めてはいけない。私はそのように理解し、パラリンピックからの学びとして大切にしていきたいと考えています。

これらの活動から得られた考え方は、20年以降も当社の活動のベースに置いていきます。障害者スポーツの観戦・応援を通じ、諦めない心や、工夫と努力の大切さをアスリートから再確認しました。心のバリアフリーセミナーでは相手が必要としていることに心を寄せ、適切な配慮やサポートを提供することを学びました。こうした姿勢を業務に生かすことで、三菱電機ならではの価値やサービスの創出につなげていきます。

パラスポーツの支援活動から得たこのような考え方を20年以降の企業遺産、レガシーとして実践し、活力とゆとりある社会に貢献する企業として成長していきたいと考えています。

すぎやま・たけし 1956年岐阜県生まれ。79年名大工卒、三菱電機入社。14年常務執行役、17年代表執行役副社長。18年から現職。

屋内もバリアフリーに

清水建設社長 井上和幸氏

5月に新しい長期ビジョンを発表し、2030年の社会に提供したい価値を「レジリエント(強靱、きょうじん)」「インクルーシブ(包摂)」「サステナブル(持続可能性)」という3つのキーワードで表現しました。このうち人に優しい施設やまちづくりを通して健康・快適に暮らせる「インクルーシブな社会の実現」について話したいと思います。

LCVと呼ぶ、施設の建設だけで終わるのではなく、施設やインフラのライフサイクルの価値を向上させる事業に取り組んでいます。その一例が視覚障害者らが快適に目的地に移動できるようにする音声ナビゲーションシステムです。

視覚障害者が実際に街に出て、買い物や食事、スポーツ観戦などを楽しむことはまだ難しいのが現実です。点字ブロックなどハード面のバリアフリー化は進んでいます。屋外では全地球測位システム(GPS)を使った案内システムが進化していますが、屋内ではまだまだ実現していません。

そのため施設内のバリアフリー化の実現に向け、14年にシステム開発を始めました。施設内のビーコンとクラウド上の図面にスマートフォンを通信させ、歩行ルートを音声で案内。これまで5~10メートルほどあった位置の把握精度が1.5~2メートルになり、視覚障害者の方の白杖(はくじょう)の誤差の範囲内となりました。

17年には三井不動産と組み、都内の日本橋室町地区で実証実験しました。その後、スマホアプリとして一般公開し日本橋コレド室町などで実用化を進めています。例えば「コレドのお店に行きたい」と言えば、ビルの車寄せに迎えに来た車が自動でお連れし、下車後に施設内の店舗に案内することを可能にするものです。近い将来、横浜のみなとみらい21や都内の豊洲地区で自社展開する不動産開発事業などでこのようなシステムを展開していきます。

清水建設は総合建設業として唯一、東京2020大会のオフィシャルサポーターとして協賛活動を開始しました。1964年の大会では国立代々木競技場などを施工しました。今回は有明体操競技場を建設して先ごろ完成しました。

2030年に目指す社会の実現には、全ての人々が能力と特性を発揮して活躍することが不可欠です。建設会社はこれまでのように単に美しい、立派なものを建設すれば良いというわけではありません。これからは全ての人々が暮らしやすい建物や街並みをつくり、包摂性のある社会や生活を支えたいと考えています。

いのうえ・かずゆき 1956年東京都生まれ。81年早大院修了、清水建設に入社。15年に取締役専務執行役員、16年から現職。

パラムーブメントがニッポンを変える

パネル討論

パネル討論では「パラムーブメントがニッポンを変える」をテーマに野村ホールディングス(HD)の池田肇執行役員、日本パラバレーボール協会代表理事の真野嘉久氏、「ユーチューバー」のマネジメントを手がけるUUUMの鎌田和樹社長兼最高経営責任者(CEO)、日本財団パラリンピックサポートセンター推進戦略部プロジェクトマネージャーのマセソン美季氏が討論した。司会は経済キャスターの小谷真生子氏。

小谷氏 2020年のパラ開幕が近づく中、一過性のものにせず、どう根付かせられるでしょうか。

鎌田氏 動画配信サービス「ユーチューブ」で車いすバスケットボールなど、パラ競技の動画を配信している。この動画は230万回再生されており、特に若い世代の反響を感じている。

マセソン氏 私は20歳のときの交通事故で車いす生活になった。車いすに乗った途端に自分をとりまく人との間にバリアーができ、自分への視線や態度ががらっと変わるのを強く感じた。当たり前と思っていたが、カナダに拠点を移したらそれが全くない社会もあると分かった。日本でも20年に向けてこうしたぎこちなさが解消されてほしい。

小谷氏 選手を支援する企業が果たす役割はどのように考えますか。

池田氏 野村HDは15年3月にスポンサーになった。今回、五輪のスポンサーはパラのスポンサーにも必ずなるという中で接点ができた。初めて支援する会社は、接点ができることがスタートラインになった。

真野氏 お尻を床につけて動くバレーを推進してきたが、競技団体は脆弱でお金も人もない。ここにきて企業から支援の話をもらうことが増えているが、20年以降も考えてもらえる企業だけを残したい。パラも五輪同様メダルをとらないといけない方向に国は動いている。車いすラグビーや陸上、水泳など、メダルがとれるであろう競技には多くのお金が動いている。メダルがとれないだろうバレーは10分の1ほどだ。

小谷氏 意識の変化はありましたか。

池田氏 スポンサーとなり、役員も競技を体験したことで変わった。それまでは障害者スポーツと距離がある社員が多かった。実際に義足を見たり、一緒に試合をしたりすることが、お互いや共生社会を理解する点で大事だと感じた。

鎌田氏 ユーチューブの出演者の影響力が上がっている。出演者を通じて親近感を高めてもらう意味は大きい。動画を通して障害者スポーツを疑似体験してもらっている。パラでも動画で競技の魅力を伝えられる可能性を感じている。

小谷氏 開催国として日本を見て、変えないといけないものは何ですか。

マセソン氏 スポーツの現場で活躍する障害者が増え、関心の高まりは感じる。一方で障害者が社会の中で活躍している様子が身近になっているとは言いがたい。パラをきっかけに障害のある人たちが、自分たちに対する接し方が変わったと感じるようになって初めて成功といえる。

真野氏 障害者、健常者というくくりで捉えられてしまうところがまだある。日本は今後、超高齢化社会を迎える。障害者スポーツは健常者が年をとってもできるスポーツ。パラスポーツを一生涯のスポーツとして取り入れられるようにやっていきたい。

◇   ◇   ◇

<シンポジウムを終えて>

東京の地下鉄の駅ではホームドアやエレベーターの設置工事が目立って増えた。東京五輪・パラリンピックを1年後に控え、車いすや目の不自由な人でも大きな不安やストレスを感じないで活動できるように、街は姿を変えている。だが、それだけでは十分ではない。

議論でのマセソン美季氏の言葉が印象に残った。「(日本では)車いすに乗ったとたん、周りの人たちの視線や態度が変わる。ぎこちない態度とか、バリアーができたみたいです」

自分を振り返っても納得してしまう。偏見を持っている自覚はないが、車いすに乗ったり白いつえを持ったりした人が目の前にいると、自然に接することができなくなる。同じ経験がある人は少なくないだろう。島国で多様性への感受性が低い日本の社会の悪癖だと思う。

1998年長野パラリンピックの時、直前の五輪で派手なPR合戦を繰り広げたスポンサー企業が急に目立たなくなった。「障害者スポーツを商売に利用しているというイメージをもたれたくない」という及び腰の企業の声を聞き、日本の社会の未熟さを表していると書いた。

21年後の今、企業の姿勢はまったく変わった。だが、個人の意識はまだ開かれていないようだ。真の共生社会を目指して、五輪・パラリンピックをわれわれの意識変革をもたらす大きな転機にしたい。

(編集委員 北川和徳)

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