筒香、秋山メジャー挑戦へ 日本人野手再評価されるか
スポーツライター 杉浦大介
12月9日からサンディエゴでMLBのウィンターミーティングが始まり、2019~20年のストーブリーグが本格化する。今オフ、すでに4人の日本人選手がメジャー入りを表明。筒香嘉智外野手(DeNA・28歳)、秋山翔吾外野手(西武・31歳)、菊池涼介内野手(広島・29歳)、山口俊投手(巨人・32歳)はどんな条件で、どのチームに所属することになるのか。最近では複数の野手がメジャー入りを目指すのは珍しいだけに、その行方は興味深い。
かつて、イチロー、松井秀喜、井口資仁、松井稼頭央、岩村明憲といった日本人野手がメジャーの舞台で躍動し、それぞれ存在感を発揮した。しかし昨シーズン、野手でプレーしたのはイチロー、指名打者の大谷翔平のみ。2010年代前半に田中賢介、川崎宗則、西岡剛らが活躍できなかったあたりで日本人野手への評価は下がり、確かな打力を備えた青木宣親ですらも過小評価され続けた印象があった。
ESPN.comが発表した今オフのFA選手ランキングトップ50で、筒香は23位、秋山は27位にランクインしている。菊池に関しては「厳しそうだ」という関係者の声が聞こえてきているが、筒香、秋山の2人がメジャー入りする可能性は高そうではある。それでも近年の日本人野手全体の評価を考えれば、好条件を期待すべきではないのかもしれない。
ESPN.comの記事内では、秋山に提示されるのは1年契約ではないかと指摘されていた。11月21日付で日本人FA選手の大特集を展開したThe Athleticは、秋山は2年1000万ドル程度の契約でカブス、ダイアモンドバックス、アスレチックス、ホワイトソックス、インディアンス、ジャイアンツが獲得の候補になると記していた。
■筒香にはタイガースが興味?
ポスティングでのメジャー入りを目指す筒香に関しては、ESPN.comは1年契約、NJ.comは29日付でタイガースから2年1600万ドルが提示されると予想している。ここで挙げられたチームは単なる推測にすぎないが、2人とも契約期間は1~2年、総年俸は合計500万ドル~1500万ドル前後というのが相場となってくるのだろう。立場的にも保証されたものではなく、入団後にフィールド上で実力を証明していかなければならないはずだ。
彼らがメジャー入りすれば、その成果に改めて日本人野手の評価が委ねられることにもなるのだろう。年間最多安打4度、ゴールデングラブ賞6度の秋山は紛れもなく日本屈指の外野手であり、16年には2冠王を獲得した筒香も日本プロ野球を代表する長距離打者である。
この2人が力を発揮できなかったとしたら、日本人野手のメジャー入りはますます難しくなりかねない。一方、彼らが活躍すれば、その能力が再評価されることにもなるかもしれない。そういった意味で、20年は日本人選手のメジャー挑戦史の中でも重要な1年となる可能性が高い。