「戦後の転換かじ取り」「強固な日米同盟確立」
中曽根元首相死去に悼む声
中曽根康弘元首相が29日に死去したことを受けて、政界や経済界から悼む声が相次いだ。
安倍晋三首相は「戦後史の大きな転換点にあたってかじ取り役を果たした」との談話を発表した。「強固な日米同盟確立」などの功績も強調した。
29日夜、首相官邸で開いたエルサルバドル大統領との共同記者発表の場では「一貫して憲法改正の必要性を強く訴えてこられた」と語った。そのうえで「こうした我が国の未来に対する強い思いは必ずや時代を超えて受け継がれるものだと確信している」と強調した。
森喜朗元首相は「戦前、戦中の体験を踏まえ、日本が復興から成長、安定を果たした時代に日本の政界の指導者を務めた政治家だ。その方が亡くなられたことは大きな歴史の変化だと受け止めている」と述べた。福田康夫元首相は「日米関係の安定化や国営企業の民営化などで示された政治のリーダーシップのあり方や政界引退後の平和研究所での終生のご活躍など、大いに勉強させていただいた」と述べた。
大島理森衆院議長は「時代を読み取る深い洞察力、確固たる信念と志を持ち柔軟かつ大胆な政治手法を振るった政治家だった」と述べた。菅義偉官房長官は「中曽根氏が体現した改革精神は安倍政権においても受け継いでいる」と語った。
自民党の二階俊博幹事長は「今日の自民党の発展そのものを残した政治家だった。次の時代に伝える方策を考えたい」と話した。公明党の山口那津男代表は「引退後も外交・安全保障の様々な提言をした。姿勢よく行動していたことに深く敬意を表する」と語った。
国民民主党の小沢一郎衆院議員は「文字通り戦後政治を総決算された素晴らしい指導者だった」との談話を発表した。共産党の不破哲三前議長は「政治的に対立する立場だったが、率直な討論のできる政治家だった」と振り返った。
読売新聞グループ本社の渡辺恒雄主筆は「親の死と同様のショックだ。あのような勉強家、読書家は他に知らない。質素な生活にも感銘していた。私にとって彼以上に敬愛した人物はいない」とのコメントを出した。
「小泉首相の時、勝手に国会議員定年制を作られ、国会議員を85歳で無理やり引退させられた時は、本当に憤慨していた」と振り返った。「私が平記者、中曽根さんが陣笠代議士の頃から、毎週土曜日には決まって読書会をして、良書を読みあさった。夜2人で酒を飲むときも、話題は読書の話、政治の話ばかりだった」と語った。
JR東海の葛西敬之名誉会長は「国鉄の分割民営化は中曽根元首相のリーダーシップがあったからこそ実現できた。その結果が鉄道の今日の発展につながっており、大変大きな功績を残された」とコメントを発表した。
経団連の中西宏明会長は談話で「時代の先を読む洞察力と改革を実行に移す政治的リーダーシップを兼ね備えた世界的にも卓越した政治指導者だった」と語った。経済同友会の桜田謙悟代表幹事は「国鉄などの民営化は強力なリーダーシップがなければなし得なかった」とコメントを出した。
日本商工会議所の三村明夫会頭は「日本の国益を世界に発信するという態度は素晴らしかった」と評価した。中曽根氏による「政治家は歴史という法廷の被告で、評価は後世に任せ、自ら信じることを力強く実行するのが役割だ」との言葉が印象深いとも振り返った。
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