ニッケル、4カ月ぶり安値 米中対立の懸念が下押し
ステンレス鋼に使うニッケルの国際価格が4カ月ぶりの安値をつけた。指標となるロンドン金属取引所(LME)の3カ月先物価格は28日に1トン1万4010ドルをつけ、前日から370ドル(3%)下落した。米中関係が悪化し、世界景気の減速につながるとの思惑から売られた。日本時間29日夕時点の時間外取引では1万3950ドル前後に水準を下げている。
中国政府は28日、米国における「香港人権・民主主義法」の成立に対し「重大な内政干渉だ」と反発した。貿易摩擦を巡る米中の通商交渉が難航するとの懸念が台頭。リスクオフの姿勢が強まり、ニッケルや銅など非鉄相場は軒並み下落した。
ニッケルはステンレス生産で世界最大の中国で需要が鈍るとの意識から、11月は下落基調が続いた。市場では「今後1万3000ドル前後まで下落する可能性がある」(みずほ銀行金融市場部の能見真行調査役)との見方もあった。