転勤拒否、始まった冷遇 「家族と一緒」選びUターン
「本社での仕事に興味はないか?」。関東地方の大手スーパーの店舗で青果部門のチーフを務めていた鈴木雅博さん(仮名、39)はある日、上司からこう告げられた。
隣県の本社への異動内示。「栄転」の2文字が浮かんだ。本社で結果を出せば出世の道が開ける。入社から8年、中軸として実績を上げてきた自負もあった。
だが即答はできなかった。自宅から本社まで片道2時間以上。現実的には転居の一択だが、家族は反対するだろう――。
果たして、妻は自宅と自らの実家が近い現状を変えたがらなかった。長女も東日本大震災の激しい余震で情緒不安定になっていた。強引に転勤を選ぶことには二の足を踏まざるを得なかった。
「転勤した場合」「しなかった場合」。ノートに今後の展開や、自分の思いを書き連ねた。悩みに悩み
多様化する働き方や社会の変化に戸惑いながらも、答えを探す人たちの群像を描きます。