TSMCが東大と提携 先端半導体の開発後押し
【台北=伊原健作】半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)と東京大学は27日、先端分野の半導体の研究開発で提携すると発表した。TSMCが半導体開発や試作のプラットフォームを東大側に提供するほか、材料など幅広い分野で共同研究を進める。同社が海外の大学と包括的な提携を結ぶのは初めてという。
提携では東大大学院工学系研究科に10月に設置された「システムデザイン研究センター」(ディーラボ)に対し、TSMCがクラウド上の仮想空間を活用した半導体設計のプラットフォームの提供や試作支援を行う。同センターは多様なデータを集約して新たなサービスにつなげる専用チップの設計などを手掛けるといい、TSMCのシステムを研究開発に役立てる。
TSMCは半導体設計を手掛けるファブレス(工場無し)企業の製品開発を支援・育成しながら受注を獲得するモデルで世界最大手に成長してきた。毎年1兆円超を設備投資に投じて半導体製造の先端技術開発をリードしており、高度な研究を担う内外の大学と協力関係を広げる。東大とは半導体の材料や化学などの研究開発も含め交流を進める方針。大学との包括的な提携は海外では初めてという。
TSMCの劉徳音董事長は今回の提携について「多くの革新的なアイデアの製品化につながり、より豊かな社会をつくり出すだろう」とコメントした。