白鵬、有終の美 4場所ぶり賜杯に「最高」
14日目に優勝を決めた白鵬が今年最後の一番で貴景勝を下し、有終の美を飾った。
左で張って相手の出足を止めると、あっさり右四つ。簡単に勝負を決められたはずだが、じっくり構えて動かない。今場所唯一の横綱―大関戦を少しでも長く楽しんでもらおうとするかのように1分あまり。頃合いをみて寄り切った。
34歳になった今年、右上腕や右手指など相次ぐ故障で休場が続いた。昨年全休の九州で4場所ぶりの賜杯を受け取り「ケガに泣いて、こういう場にはもう立てないんじゃないかと思った。最高ですね」と笑った。再起へのモチベーションは「もう一度若手の壁になってやろうという思いだった」という。今年皆勤した3場所は41勝4敗。唯一の複数回優勝と第一人者の地位は守った。
この日、自らスカウトした弟弟子の炎鵬が勝ち越しを決めた。その相手が2日目に金星を配給した大栄翔だったことを振られると「私も炎鵬に負けたということですね」と軽妙な切り返し。来場所は上位挑戦となる25歳に向け「楽しみですね。当たらなくてよかった」とユーモア交じりにエールを送った。
(吉野浩一郎)