北国銀行、勘定系をクラウド移行
北国銀行は21日、銀行業務の基幹となる勘定系システムをネット経由で利用するクラウド環境に移行すると発表した。22日付けで移行作業を担う子会社を設立する。収益環境が厳しさを増すなか、システムの保守管理コストなどを削減する。2025年に総経費を現在に比べて1割削減する。
実店舗を持つ銀行が勘定系システムをクラウド環境に移行するのは日本で初めての取り組みという。22日付けで北国銀が9割を出資し、日本ユニシスなどと移行業務を手掛ける子会社を設立する。21年をめどに、すでに導入している日本ユニシスの勘定系システムを米マイクロソフト(MS)のクラウドサービスに移行する。
クラウドに移行すると個別にサーバーなどを保守する必要がなくなるため、インフラの保守・管理にかかる費用を削減できる。現在はシステム関連の投資のうち保守管理が5割を占めるが、その比率を3割に引き下げる。勘定系の膨大な取引データをクラウド上に蓄積し分析することで、近年注力する企業向けのコンサルティング業務の充実にもつなげる。
10月にはふくおかフィナンシャルグループが米グーグルのクラウド採用を表明したが、新規に立ち上げるネット銀行での取り組みだった。
日本MSは米本社のクラウド技術者も巻き込み、全面的な支援体制で臨む。北国銀をきっかけに、将来は他の国内地銀やメガバンク、海外の金融機関への提案を視野に入れる。クラウド上で展開する人工知能(AI)などを提案し、銀行の新サービスの開発に活用してもらう狙いだ。