センサーで健康管理、血流チェックで糖尿病予防も
電子部品メーカーが健康状態を調べられるセンサーの実用化に乗り出している。京セラは手首に当てて血流の変化(脈波)を測る糖尿病予防の機器を開発。第一精工は呼気から歯周病をチェックする仕組みを検討中だ。いずれも家庭やオフィスなどで手軽に計測し、結果をスマートフォンなどに表示する使い方を提案。健康管理を後押しする。
京セラは「糖質ダイエットモニタ」を開発した。手首に数秒間押し当てるだけで血糖値の傾向が分かる小型センサーで、2020年に発売予定だ。糖尿病予備軍の発見やダイエット支援につなげる。
血糖値を測るには現状では採血が必要。痛みなく、より簡便に糖尿病の兆候を調べられるようにする。
角速度センサーを手首の動脈に押し当て、脈波を測る方法を採用した。脈波の波形が血糖値によって変化する性質を使う。食事の前後で脈波波形がどう変わったかを調べることで糖の代謝を分析する。
基準値に比べて糖の代謝が良いか悪いかを判定し、スマホアプリに結果を表示する。測定精度を糖尿病患者などで確かめる研究を医療機関と始めた。
コネクターなどの電子部品に強い第一精工は、さまざまな種類の匂いを識別できる小型センサーを開発した。20年2月に約10万円で発売する。
センサーにはさまざまな匂い分子を捉える膜が塗ってあり、分子が付着したときの特性の変化を検出する。匂いの識別には人工知能(AI)を使い、そのアルゴリズムは凸版印刷が提供する。既にサンプル品の提供を始めており、20社近くが採用した。
工場の異臭検知や食品の品質管理のほか、呼気から歯周病などを発見する目的にも使えるようにする考え。医療機関との共同研究を始めた。20年春にはスマホの端子に挿せるスティック状の匂いセンサーも発売する。スマホをさまざまな匂いの「鼻」として使えるようにする狙いだ。
太陽誘電は20年内をめどに、水晶振動子と呼ぶ電子部品や半導体の技術を生かした匂いセンサーを発売する。ホテルや自動車、工場などの匂い検知のほか、体臭のチェックにも使えるようにする。呼気検査などに使えるより検出感度の高い匂いセンサーも開発するという。
LIXILは便器に画像センサーを搭載し、便の状態を自動判定するサービスを開発中だ。ブリストルスケールと呼ぶ分類基準にもとづき、撮影した画像とAIで便の形や大きさを判定する。
社員の協力で集めた約3000枚の画像をもとにAIを開発した。サービスの発売時期は未定だが、高齢者施設の入居者の健康管理などに使えると見ている。
(企業報道部 大下淳一)
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