米韓演習の完全中止要求 北朝鮮
【ソウル=恩地洋介】北朝鮮の金英哲(キム・ヨンチョル)朝鮮労働党副委員長は19日、朝鮮中央通信を通じて談話を発表し、米韓両政府が近く実施を予定していた合同軍事演習の延期を決めたことに関して「米国に求めているのは演習の完全中止だ」と主張した。非核化交渉について「米国の敵視政策が完全かつ後戻りできないよう撤回されるまで」は応じる考えがないと強調した。
例年12月ごろに実施する米韓空軍の合同軍事演習を巡っては、17日にバンコクで会談したエスパー米国防長官と韓国の鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国防相が延期の方針で合意した。金英哲氏はエスパー氏が北朝鮮に条件なしで対話の場に戻るよう促したことに「演習の延期で朝鮮半島の平和と安全が保障されるものではない」と反発した。
北朝鮮は10月5日の米朝実務者協議で決裂を宣言し、米国に対し年末までの一方的な譲歩期限を設けた。金英哲氏は米国を「我々に対する敵対心を捨てないまま、年末年始を控えた今を乗り越えるために時間稼ぎだけを追求している」などと非難した。
北朝鮮は18日にも金桂官(キム・ゲグァン)外務省顧問が米国に敵視政策の撤回を求める談話を出した。
金正恩(キム・ジョンウン)総書記のもと、ミサイル発射や核開発などをすすめる北朝鮮。日本・アメリカ・韓国との対立など北朝鮮問題に関する最新のニュースをお届けします。