米韓、軍事演習実施を延期 北朝鮮に配慮
米韓国防相が合意
【バンコク=恩地洋介】米国のエスパー国防長官と韓国の鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国防相は17日、訪問先のバンコクで会談し、今月にも実施する予定だった米韓合同の空軍演習を延期する方針を確認した。北朝鮮が強く反発しており、米朝の非核化交渉が一段と滞る事態を避けるための判断とみられる。
エスパー氏は会談後の記者会見で「外交努力と平和を促進する誠意の措置だ。北朝鮮もミサイル発射試験などで相応の誠意を見せてくれることを願う」と語った。北朝鮮には条件なしで対話への復帰を促す一方、「朝鮮半島の連合戦力は高い水準で準備態勢を維持できるよう保証する」とも強調した。
米韓両軍は例年12月ごろ、空軍の合同演習「ビジラント・エース」を実施してきた。初の米朝首脳会談が開かれた2018年は開催を見送ったが、今年は米国防総省が7日に「米韓空軍が即応性を確保するため」として、規模を縮小して実施する方針を明らかにしていた。
北朝鮮は9日にモスクワで開かれた核軍縮に関する国際会議で、外務省高官が「危険なゲームだ。行動を間違えれば重大な結果を招く」と米国を非難。中国も外務省の耿爽副報道局長が14日に「緊張緩和の局面を大事にするよう関係国に呼びかける」と演習の自粛を呼びかけた。
北朝鮮の朝鮮中央通信は14日に、演習の完全中断への期待を示す金英哲(キム・ヨンチョル)朝鮮労働党副委員長の談話を報道。同時に、米国との非核化交渉を担う金明吉(キム・ミョンギル)首席代表が談話を通じて「問題解決が可能なら、任意の場所で任意の時間に米国と向き合う用意がある」との意思を示した。
金明吉氏によると、米国のビーガン北朝鮮担当特別代表が第三国を通じて12月中の交渉再開を提案している。米朝の実務者協議は10月5日にストックホルムで開かれて以来途絶えているが、米韓合同軍事演習の延期を機に再開を模索する動きが始まる可能性もある。
金正恩(キム・ジョンウン)総書記のもと、ミサイル発射や核開発などをすすめる北朝鮮。日本・アメリカ・韓国との対立など北朝鮮問題に関する最新のニュースをお届けします。