イランでデモ、ガソリン値上げ抗議 治安部隊と衝突
【ドバイ=岐部秀光】イランの首都テヘランやシーラーズなど各地で16日、ガソリン価格の引き上げに抗議するデモが発生した。国営メディアによるとデモ隊は一部で治安部隊と衝突し、少なくとも1人が死亡した。2017年12月以来の大規模な抗議デモに発展している。当局は非常対応としてインターネットの接続を制限しているもようだ。
最高指導者ハメネイ師は17日、「破壊や放火をしているのは我々の国民ではない」と述べ、一部で暴徒化したデモ隊を批判した。「値上げは専門家の意見にもとづいて実施されたものだ」と述べ、撤回しない考えを強調した。
政府は15日、事前の予告なしに1リットル1万リアル(公定レートで約33円)だったガソリン価格を1万5000リアルに引き上げた。さらにこの「配給価格」で買うことができるガソリンの量を自動車1台につき1カ月60リットルに制限するとした。それ以上を購入する場合には1リットル3万リアルの価格が適用される。
公共交通機関の整備が遅れているイランでは通勤や通学で多くの人々が自動車に頼っている。
有力産油国であるイランは燃料補助金によって世界で最も安いガソリン価格を維持してきた国のひとつだ。
イランの財政は、対立する米国による度重なる制裁で厳しい状況に追い込まれている。石油の精製施設ではスペアパーツの不足で国内向けの精製能力の拡大が間に合わなくなっているとされる。
イランでは17年末にも各地で経済難に抗議するデモが各地で発生した。この際、デモ対の一部が批判の矛先を最高指導者ハメネイ師にも向けた。
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