中国半導体の紫光集団、元エルピーダの坂本氏を幹部に
【北京=多部田俊輔】中国半導体大手の紫光集団は15日、かつて日本の半導体大手であったエルピーダメモリ(現マイクロンメモリジャパン)の坂本幸雄元社長(72)を、高級副総裁に起用すると発表した。日本子会社の最高経営責任者(CEO)も兼務する。紫光は、中国の半導体産業の競争力向上を目指す中国政府の後押しを受けている。坂本氏の起用は、同氏が持つ多くの経営ノウハウや人脈を最大限活用する狙いとみられる。
紫光の趙偉国董事長兼CEOは「坂本氏の加入は紫光のイノベーションの力を増強することに疑いはない。グローバルでの成長と、事業の現地化戦略を体現するものだ」と強調した。坂本氏も「日本事業を全力で拡大し、紫光のグローバル成長を支援していく」とのコメントを発表した。
紫光は習近平(シー・ジンピン)国家主席の母校である清華大学の傘下の半導体企業。中国の展訊通信(スプレッドトラム)などを傘下に収めて成長した。米マイクロン・テクノロジーや米ウエスタン・デジタル(WD)に買収や出資を提案したが、米側の反対で頓挫した経緯もある。
坂本氏は日本テキサス・インスツルメンツ(TI)や神戸製鋼所などを経て、NECと日立製作所がDRAM事業を統合して設立したエルピーダの社長を2002年から13年まで務めた。エルピーダは経営破綻し、マイクロンに買収された。