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ファンを置き去りにした、楽天・平石監督退任劇

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ソフトバンクの日本シリーズ無傷の4連勝で今季の幕が下りたかと思えば、球界は早くも来季に向けて動き出している。各球団が相次ぎ首脳陣の新たな陣容を発表し、次のシーズンへの楽しみが膨らみ始める時期でもあるが、今年はどうにも心に引っかかる人事があった。楽天の平石洋介監督の退任である。

今季終了後、3人の監督が職を辞した。広島の緒方孝市監督はリーグ3連覇中だったチームが4位に終わった責任を取り、ヤクルトの小川淳司監督は2018年に2位だったチームが最下位に沈んだ事実を重くみて、身を引いた。これに対し、平石監督は18年に最下位だったチームを新監督として率い、3位に引き上げた。劇的にチーム成績を向上させた監督が辞めさせられる、異例の出来事だった。

12球団唯一の30代監督、指導者として才能開花

以前もこのコラムで触れたが、平石は私と同じ同志社大出身で、私が楽天の監督に就いたばかりの04年秋のドラフト会議で指名し、入団させた選手でもある。そうした縁から、今年1月、平石の監督就任にあたって同志社大野球部OBが京都で開いた激励会では、発起人の一人を務めた。監督時代に三木谷浩史オーナーと思うようにコミュニケーションが取れなかった私自身の教訓を込めて、激励会では「オーナーの話もちょっとは聞くように」とスピーチしたのだが、まさか私と同じくわずか1年で退任することになろうとは……。

退任の報に接し、すぐに平石に電話をかけた。「どういうこっちゃ?」。則本昂大の出遅れや今年の陣容からして、私はよくて4位が精いっぱいとみていたが、最終的には71勝68敗4分けの3位。「今年の3位は、今の陣容ではベストの結果だぞ」とねぎらうと、平石は「ありがとうございます!」と元気良く返した。

「監督を辞める代わりに、球団は何かしらのポストを用意するはずだが、どうするんだ」と聞くと、「多分、断ると思います」。その通り、2軍統括という新ポストの打診を断り、退団した。同大から進んだトヨタ自動車での安定した生活をなげうってプロ入りを決めた時に似た、退路を断つ決断。志半ばでの監督退任にも恨み言一つ口にしなかった点を含め、改めて「男気のあるやつだな」と思った。

今季の2軍監督から昇格し、新たに楽天を率いることになった三木肇新監督は、現役生活を送ったヤクルトで作戦コーチやヘッドコーチを務めるなどしてきた。ヤクルト時代に同じ釜の飯を食った楽天の石井一久ゼネラルマネジャー(GM)には「いずれ三木を監督に」という思いがあったのだろう。チームを強くしたい一心からの決断は尊重すべきだが、問題は時期。はたして今がその時だったのだろうか。

平石は大阪・PL学園高、同大でともに主将を務めている。PLではレギュラーでなかったにもかかわらずまとめ役を任され、人望も厚かったと聞くから、いかに優れたリーダーシップを発揮していたかが分かる。プロではなかなか花開かず、目立った成績を残せないまま現役を引退したが、指導者に転じてから持ち前の統率力を発揮。今年、12球団で唯一の30代の1軍監督として、なかなかの手綱さばきを見せた。

言うまでもなく、プロは実力主義の世界。成績が伴わなければチームを去らねばならない。05年からの7年間で通算37安打、1本塁打で終わった平石が戦力外になったのは致し方なかった。ただし、監督としては盤石とはいえない戦力でやり繰りし、前の年に最下位だったチームをAクラス入りさせた。実績をつくりながら辞めなければならないのは、実力主義の道理に合わない。

過去を遡ると、楽天はチームの顔だった山崎武司(後に中日に移籍し引退)やリーダー格の渡辺直人など、特にファンに愛されたシンボルのような人物を相次いで手放してきた(渡辺は横浜=現DeNA=、西武を経て楽天に復帰)。今回の平石にしてもそうだ。彼は楽天を退団するにあたり、次のように話したという。「本当に仙台が好きだし、宮城県、東北が好き。楽天に来て15年だが、本当に誰にも負けないくらいの思いを持っている。そんな私でも退団する決心をした。もう、これが全てですね」

したたかなソフトバンク、平石"コーチ"採用

私が監督時代に目指したのは、強いチームをつくるのではなく、いいチームをつくることだった。たとえ弱くてもファンが誇りに思い、愛してくれるチーム。そんないいチームができれば、おのずと強いチームになっていくという思いがあった。仙台を、東北を愛し、地元ファンと相思相愛の関係を築いてきた平石が、疑問符が残る形で退団に追い込まれた今回の一件は、ファンを置き去りにした点でも、いいチームを目指す姿とはかけ離れていると思わざるを得ない。実績をつくっても居場所を奪われるのでは、このチームに来たいと思う人がいなくなるのでは、と危惧する。

平石はこのほど、ソフトバンクに打撃兼野手総合コーチとして招き入れられた。ライバルチームのトップだった人間をすぐさま招請するところにソフトバンクのしたたかさを感じるが、指導者・平石の力量を高くみての人事であることは確かだ。黒と黄のユニホームに身を包む平石に、仙台のファンは何を思うだろう。楽天の関係者は今回の件で一石を投じられたと思って、ファンに愛される球団とはどういうものか、もう一度考えてもらいたい。楽天OBの一人として切に願う。

(野球評論家)

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