北朝鮮の人権非難決議、日本は提出国から外れる
【ニューヨーク=吉田圭織】国連総会で人権問題を扱う第3委員会は14日、北朝鮮による人権侵害を非難する決議を採択した。同様の決議は2005年から毎年採択され、今回で15回目。日本は2回目から欧州連合(EU)と決議案を共同提出してきたが、今回は提出には加わらず、支持するにとどまった。
日本外交筋は日本経済新聞に「日朝関係を取り巻く情勢を総合的に判断した結果」と説明した。国連関係者の間では、日朝首脳会談の実現に向けて融和姿勢を示したとの見方もある。
決議は拉致問題の早期解決を要求し、今回は拉致被害者の「安否及び所在に関する正確な情報の提供」を求めた。
委員会に出席した北朝鮮の金星(キム・ソン)大使は日本に対し「徴用工と慰安婦問題は未解決」と指摘したが、去年に比べると批判を弱めた。一方、決議採択後に発表した声明で北朝鮮は「EU各国では人道に対する罪が広がっている」と主張し、「他国の人権問題を指摘するような立場にない」と厳しく非難した。
ジュネーブの国連人権理事会でも同様の北朝鮮非難決議を例年採択しているが、日本は今年3月、共同提出国から外れた。
金正恩(キム・ジョンウン)総書記のもと、ミサイル発射や核開発などをすすめる北朝鮮。日本・アメリカ・韓国との対立など北朝鮮問題に関する最新のニュースをお届けします。