BRICS会議、保護主義懸念の首脳宣言採択
【ブラジリア=外山尚之】ブラジルの首都ブラジリア開かれたブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの新興5カ国(BRICS)首脳会議は14日、保護主義への懸念を共有する首脳宣言を採択した。世界経済が減速する中、参加国からは米国を念頭に保護主義の拡大や貿易戦争の激化を不安視する声が相次いだ。
首脳宣言では「我々は多国間主義へのコミットを続ける」としたほか、「貿易の緊張や政治的な不確実性が信頼や貿易、投資、成長に影響を及ぼしている」と明記。米国を念頭に、保護主義に懸念を示した。
議長国のブラジルのボルソナロ大統領は14日、会議を前に記者団に対し「ブラジルは貿易戦争に加わらず、世界中と取引をする」と述べた。1月に就任したボルソナロ氏は親米を公言しトランプ氏とも近いが、BRICSとしての結束を優先した形となる。
中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は「保護主義や単独主義の台頭に対する懸念がある」と発言し、世界貿易機関(WTO)や国連の枠組みを活用した、多国間主義の重要性を強調した。インドのモディ首相は「貿易のコストを下げることが必要だ」と述べた。
BRICS加盟国での経済協力を深化させることでも一致した。ロシアのプーチン大統領は「各国の専門家が参加して石油やガスの共同探索に取り組む仕組みを作る」と発言。この取り組みは「BRICSエネルギー探索プラットフォーム」として実現を目指すという。
首脳宣言では地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」やシリア情勢など幅広いテーマが取り上げられた一方、ベネズエラ情勢など参加国の意見が対立するテーマの記載は見送られた。