石油元売り、純利益2250億円下方修正 出光は600億円
出光興産は14日、2020年3月期の連結純利益が1000億円になりそうだと発表した。従来予想を600億円引き下げ、4月に経営統合した昭和シェル石油との2社合算ベースの前期と比べ6%増と、従来予想(69%増の1600億円)から増益幅が縮小する。海外製油所の稼働率が低下したほか、原油安で資源開発事業の採算が悪化する。石油元売り大手ではJXTGホールディングスに続く下方修正で、両社の純利益の下方修正額は合計で2250億円に達した。
出光興産の売上高は11%減の6兆1000億円、営業損益と持ち分法投資損益を合わせた本業ベースでの利益は39%減の1400億円を見込む。それぞれ6900億円、800億円を従来予想から下方修正した。
主因は燃料油部門だ。本業ベースの利益は310億円と前期比で6割減る。昨年に商用生産を開始したベトナムのニソン製油所で装置トラブルが発生。現在も点検作業をするなど、稼働率が低下している。約240億円の減益要因となる。
資源安の影響も受ける。業績予想の前提となるドバイ原油の想定価格を1バレル=63ドルと7ドル引き下げた。在庫評価損が280億円発生する。
資源開発事業の利益は420億円と従来予想から190億円引き下げた。ノルウェー領北海の油田やオーストラリアの石炭鉱山で採算が悪化した。高機能材事業の利益も80億円下げ310億円とした。「中国などで需要が減っている」(酒井則明執行役員)という。
同日発表した19年4~9月期の連結決算は、売上高が前年同期比14%減の3兆円、本業ベース利益が77%減の487億円、純利益が67%減の453億円だった。中期経営計画も発表し、23年3月期に純利益を1750億円、自己資本利益率(ROE)10%以上を目指すとした。
この日、石油元売り3社の19年4~9月期決算が出そろった。資源安や石油化学製品の市況悪化を受け、全社とも純利益を大きく減らした。JXTGは20年3月期通期の純利益予想を1650億円引き下げた。
資源安などによる業績の悪化懸念から各社の株価は下落基調が続く。原油価格が上昇していた昨年9月末に比べ、出光株は48%安。JXTGは41%下落している。
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