北関東地銀の4~9月期、5行・グループ最終減益
北関東の5地銀・グループの2019年4~9月期決算が14日出そろった。本業のもうけを示す実質業務純益はすべての地銀・グループが横ばいまたは増益となった。貸出金利回りの低下が続く中、債券売却益の計上や経費の削減で補った。半面、連結純利益は軒並み減少した。収益力が下がっているところに、信用コストが膨らんだのが痛手となった。
実質業務純益(単体、めぶきフィナンシャルグループは連結)は4地銀・グループが増益、群馬銀行は横ばいだった。超低金利の継続で貸出金残高を伸ばしても収益が上向かないなか、栃木銀行や東和銀行は債券売却益の計上や経費の削減を進めた。めぶきFGと群馬銀は前年同期に計上した外国債券の売却損がなくなったのが寄与した。
一方、連結純利益はすべての地銀・グループで減少した。株式売却益が減ったのも一因だが、取引先の倒産に備える貸倒引当金などの信用コストの増加も見逃せない。19年4~9月期に5地銀・グループが計上した信用コスト(単体、めぶきFGは2行合算)計173億円と前年同期より8割増加した。
倒産件数や負債総額は低水準で推移しているにもかかわらず、信用コストが増加傾向にあることから各地銀・グループは警戒を強めている。信用コストが2.7倍の26億円に膨らんだ東和銀の吉永国光頭取は5日の決算発表で、「取引先の中に経済状況が厳しいところがだんだん出てきている」と危機感を示した。
めぶきFGも信用コストが前年同期に比べ7割増えた。傘下の常陽銀行と足利銀行で異なる決算書を提出していた取引先が見つかるなどしたため、常陽銀は7月、独自に開発した粉飾決算の検知システムを試験導入した。「人海戦術では非効率」(めぶきFGの笹島律夫社長)とみて実用化を急ぐ。
19年3月期は米国金利の上昇など急激な市況変動が北関東の地銀・グループの業績を揺さぶった。20年3月期は有価証券の運用難は一服したが、信用コストの増加が新たな課題として浮上した格好だ。収益力の低下が続くだけに、与信管理の巧拙が業績を大きく左右することになりそうだ。