NTT、NASAなどと新たな量子計算機を開発へ
NTTは、米航空宇宙局(NASA)や米スタンフォード大学などと共同で、新しい方式の量子コンピューターの開発に乗り出す。米グーグルや米IBMが研究する方式と異なり、光ネットワークを駆使したのが特徴。室温での動作が可能で消費電力も抑えられる利点を生かし、先行する米国勢を追随する。
研究には光レーザー技術に強い米カリフォルニア工科大学や米コーネル大学など米やオーストラリアの6つの有力大学とNASA、カナダの量子コンピューター関連企業の1Qビットが参加する。14日、共同研究に乗り出すと発表した。
NTTが開発に成功した「量子ニューラルネットワーク(QNN)」というタイプのコンピューターを基盤にして研究を発展。10年後の実用化を目指す。
NTTは4月、米国シリコンバレーに海外初の基礎研究拠点であるNTTリサーチを開設。量子計算や暗号理論など次世代の基礎研究に取り組み、今後5年間で累計250億円を投じる計画だ。
量子コンピューターでは様々な用途に展開できるとされる「ゲート方式」が本命とされ、グーグルや米IBMが研究に取り組む。特定の計算問題を解くのに特化した「アニーリング方式」はカナダのDウエーブ・システムズが商用化に成功。NTTなどが取り組む今回の方式はいずれとも異なり、第3の方式になる。ゲート方式やアニーリング方式が極低温状態にしないと稼働しないのに対し、NTTのタイプは室温で動作する。消費電力を抑えられるといった利点がある。
NTTの量子ニューラルネットワークは、計算速度を加速度的に高める「量子効果」を使っておらず、一部の研究者から量子コンピューターではないと指摘を受けた経緯がある。共同研究ではこうした批判にも耐えうる成果を出し、世界で競争が進む量子コンピューターの世界で主導権を握ることを目指す。