石炭発電のCO2、「50年にゼロ」まで削減必要 IEA
【パリ=白石透冴】国際エネルギー機関(IEA)は13日、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」順守のためには、2050年までに石炭発電由来の二酸化炭素(CO2)排出量を実質ゼロにする必要があるとの見通しを発表した。現状のままでは50年時点でも4割減にしかならず、CO2回収設備などへの投資が目標達成のカギを握ると指摘した。
13日発表の2019年版世界エネルギー見通しで指摘した。石炭発電は18年時点で最大のCO2排出源で、世界の排出量の3割に当たる100億トン以上を出している。
石炭需要は米欧中で減る一方、安価なエネルギー源のためインド、東南アジアで急増している。石炭発電所は40年以上稼働する場合もあり、建設中の発電所も入れて50年時点でも約60億トンを排出する。
新興国が全ての発電所を早期閉鎖するシナリオは考えにくい。そのためIEAは、CO2回収・利用・貯留(CCUS)の投資が求められると指摘した。例えば発電所から出るCO2を回収し、化学品合成に再利用する。日本でも産学で研究が進んでいる。
IEAのファティ・ビロル事務局長は日本経済新聞の取材に応じ「CCUSなどの先端技術を使えば、気候変動対策と新興国の経済成長は両立する」と語った。