香港デモの混乱拡大 大学で衝突激化、全学校が休校に
【香港=木原雄士】政府への抗議活動が続く香港は13日も一部の鉄道路線が運休となり、金融街でデモ隊と警察が衝突するなど混乱が広がった。警察が学生を逮捕するため香港中文大学などの校内に立ち入り、抵抗する学生側と13日未明まで激しく衝突した。香港政府は14日にすべての学校を休校にすると決めた。
平日の抗議活動は3日連続。抵抗を強める若者らは13日早朝から鉄道の線路に物を投げ入れたり、道路をふさいだりした。九龍半島側のベッドタウンの屯門や繁華街の旺角は駅が閉鎖となり、通勤客に大きな影響が出た。11日朝に警察官が実弾を発砲した香港島東部・西湾河の駅周辺は信号機が壊れ、歩道のレンガがはがされたままになっていた。
香港警察は13日までに多数のデモ参加者がいる中文大と香港城市大学のキャンパスに突入した。学生は火炎瓶を投げつけたりバリケードを築いたりし、警察は1500発以上の催涙弾や放水砲で対抗した。大学当局は何度か仲裁を試みたが、失敗に終わった。12日の逮捕者は142人にのぼった。
中文大は英教育専門誌のアジア大学ランキングで東京大学よりも上位につける名門校。過激なデモ参加者が多いとされ、警察のターゲットになった可能性がある。香港メディアによると、キャンパス内の衝突で60人以上が負傷した。複数の学生団体は12日、警察の実力行使について「(軍が民主化運動を鎮圧した)天安門事件の再現だ」と非難する声明を出した。
大学がデモの主戦場になり、中国本土出身の学生に香港からの退避を促す声が出始めた。中国共産党の青年組織、共産主義青年団(共青団)は13日、香港に隣接する広東省深圳市に本土出身の学生の受け入れ施設を開いたとSNS(交流サイト)上で公表した。深圳市内のホテルやマンション合計12カ所が対象で、7日間無料で泊まれる。現役の学生だけでなく、今年卒業したばかりの人も受け入れるという。
香港政府教育局は13日、安全上の配慮から幼稚園や小中学校などすべての学校を14日に休校すると発表した。林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は11日に休校を否定していたが、状況が改善せず、わずか2日で方針転換した。
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