「桜を見る会」野党照準 首相後援会へ便宜の有無追及
菅氏「招待基準見直し検討」
野党が首相主催の「桜を見る会」への批判を強めている。12日に追及チームの初会合を開き、関係省庁に招待客名簿の提示や招待客を決める過程の説明を求めた。国の予算で運営する会に安倍晋三首相が自身の後援会関係者を多数招待して便宜を図っているのではないかとみる。菅義偉官房長官は記者会見で、招待者の選定基準の見直しを検討する考えを示した。
桜を見る会は吉田茂内閣の1952年に始まった。東日本大震災直後の2011年などを除き毎年春、各界で功績や功労があった人を各府省の意見を踏まえ招いてきた。旧民主党政権も10年に鳩山由紀夫首相が開いた。
19年4月は皇族や各国大使、衆参両院議長のほか閣僚や国会議員など約1万8200人が参加した。14年に1万3700人だった参加者数は毎年増え続けている。
追及チームは立憲民主党や国民民主党などの共同会派と共産党が立ち上げた。初会合では招待客名簿の提示を内閣府など関係省庁に求めたが、担当者は「すでに廃棄した」と応じなかった。
菅氏は12日の記者会見で「従前から保存期間1年以内の文書として終了後廃棄する取り扱いだ」と説明した。招待者の選定基準を明確にする必要性を聞かれ「政府として検討していく必要がある」と述べた。
19年の支出額は内閣府の資料によると、飲食物の提供や会場設営などで5518万円だった。14年以降は1766万円を予算に計上してきたが、実際の支出額は3千万~5千数百万円と予算額を大きく上回ってきた。20年度当初予算の概算要求は内閣府などが5728万円を求めている。
8日の参院予算委員会では共産の田村智子氏が会の前日に都内で開いた前夜祭にも触れ「首相の後援会の一大行事ではないのか」と追及した。
立民の枝野幸男代表は12日の党会合で「本丸直撃の案件だ。首相が説明責任から逃げようと思えば、遠からず『桜疑惑解散』に打って出る」と語った。同党の福山哲郎幹事長は記者会見で「前夜祭の資金はどこから出ているのか」と訴えた。日本維新の会の吉村洋文副代表は大阪市内で記者団に「事実なら公務の中立性、公平性からみて問題だ」と述べた。
自民党の二階俊博幹事長は記者会見で「特別、問題になるのか。選挙区の皆さんに配慮するのは当然だ」との認識を示した。石破茂元幹事長は11日に都内で記者団に「党の役職をしている時にそんな枠はあったが使ったことはない。首相が呼ぶなら公平性が要求される」と述べた。公明党の山口那津男代表は12日の記者会見で、会を中止すべきか問われ「国民とともに桜をめでる本来の精神を見据えたうえで対応すべきだ」と語った。