福祉タクシーで訓練 島根原発、要支援者の避難想定
全国で唯一、県庁所在地にある松江市の中国電力島根原発の2号機(82万キロワット)で、大地震による重大事故が起きたと想定した政府の原子力総合防災訓練の2日目が9日、実施された。車いすのまま乗れる福祉タクシーを使った5キロ圏の要支援者避難のほか、政府が原子力緊急事態宣言を出したのを受け、5キロ圏の住民が避難を開始した。
30キロ圏には島根県、鳥取県合わせて約46万人が居住。両県は2017年、中国地方5県のタクシー協会と、原発事故時の福祉タクシーによる緊急輸送に関する協定を結び、実際の訓練は初めて。
9日は松江市鹿島町地区で、福祉タクシーを使い模擬の要支援者を放射線防護施設から運んだ。
安倍晋三首相は官邸で午前11時すぎ、2号機の炉心溶融(メルトダウン)が確実になったとの想定で原子力緊急事態を宣言し「国や関係自治体からの指示に従い、落ち着いて行動してほしい」と呼び掛けた。5キロ圏の住民に避難を、5~30キロ圏では屋内退避を指示し、5キロ圏の住民が約60キロ離れた島根県大田市などに避難を始めた。
松江市鹿島町片句地区では、防災行政無線で訓練開始の放送が流れると住民が続々と集会所前に集まり、大型バスで大田市へ。漁業の男性(82)は「地区には高齢者が多い。速やかにみんなが避難できるよう課題があれば地域で話し合い改善していきたい」と話した。
今回の国の原子力総合防災訓練は初めて3日間開催する。
〔共同〕