未電化地域を支援するワッシャ、10億円を調達
アフリカ東部の電気が通っていない地域に発光ダイオード(LED)ランプを貸し出す事業を手掛けるワッシャ(東京・文京)はダイキン工業やヤマハ発動機から10億1000万円を調達した。ランプを貸し出す店舗のネットワークを活用し、農作物の物流網を構築するなど事業の拡大を目指す。
このほかスタートアップ支援のMistletoe Japan(ミスルトウ・ジャパン、金沢市)や、みずほキャピタルが出資している。既存株主の東京大学エッジキャピタルや丸紅も追加資金を出した。
ワッシャはタンザニアの「未電化地域」にLEDランプを貸し出している。ランプは充電式で、料金は1日あたり25円と、現地でよく使われるケロシンランプのコストと同等に抑えた。毎日2万5000世帯が同社の製品を使っている。
ランプの取り次ぎは「キオスク」と呼ぶ個人商店と契約し、一任する。ワッシャは現在、1300店舗と取引がある。今後は関西電力と組み、2022年までに1万店舗への拡大を目指す。
ワッシャはランプの貸し出しで築いたネットワークを新たな事業にも生かす考えだ。秋田智司最高経営責任者(CEO)は「農作物などの物流ネットワークを構築したい」と話している。
秋田CEOによればタンザニアの労働人口の多くは農業に従事しているが、流通に時間や費用がかかり効率が悪いという。複数の中間流通の事業者が介在していることも、円滑な取引を妨げる要因になっているとされる。
そこでワッシャはタンザニア国内で契約したキオスクを拠点にして、農作物などの物流事業に乗り出す。連日店舗を訪れるワッシャの現地社員130人が品物を運び、独自の物流網を整える方式だ。
調達した資金は新サービスの展開に向けた人材獲得などに充てる計画。今回出資したダイキンやヤマハとは物流サービスに関連した共同事業を検討しているという。
(矢野摂士)